この記事から分かること
- 仮想通貨のガス代とは
- 仮想通貨のガス代の仕組み
- 仮想通貨のガス代の計算式
- 仮想通貨のガス代を安くする方法
※本記事へのコメント・質問等は私のX(旧ツイッター)にDMで送っていただいても大丈夫です。丁寧に回答させていただきます。
仮想通貨のガス代(Gas fee)とは、ブロックチェーン上で取引を実行するために必要な手数料のことで、次の2つの目的で取引毎に支払う必要があります。
- 無限の処理が必要なループ取引の防止
- 取引を処理するバリデーターの報酬

レイヤー2ブロックチェーンである「アービトラム」等のどんなに取引処理速度を追及したチェーンでも0.1円未満のガス代をわざわざ支払う必要があるのは、「ループ取引の防止」の目的です。
ガス代の構成要素の1つ「優先手数料」部分は取引処理を行う「バリデーターの報酬」にもなります。
ちなみにブロックチェーン上のアプリを利用する際にはプロトコル手数料が必要な場合が多いですが、これはガス代とはまた別の手数料になります。

さとう本記事で解説するのはガス代のみなので、各アプリケーション毎には発生する手数料は各々の解説記事をご覧下さい。
ガス代は以下のような全てのブロックチェーンで発生するものですが、本記事では代表的なレイヤー1ブロックチェーン「イーサリアム」のガス代に焦点を当てて解説していきます。
※アービトラム等の他のEVMチェーンはイーサリアムのガス代の仕組みをベースにしているので、イーサリアムさえ理解できれば多くのブロックチェーンで同じ考え方が通用します。
| ブロックチェーン | 送金手数料 | ガス代銘柄 | おすすめ見積りサイト |
|---|---|---|---|
| Ethereum | $1.10 | ETH | Ethereum Gas Tracker |
| Bitcoin | $1.00 | BTC | tokenterminal |
| Arbitrum | $0.09 | ETH | l2fees.info |
| Optimism | $0.09 | ETH | l2fees.info |
| Solana | $0.02 | SOL | Solana Compass |
| Sui | $0.005 | SUI | suiscan |
| BNB Smart Chain | $0.002 | BNB | BNB Chain Gas Tracker |
| XRP Ledger | $0.001 | XRP | theblock |
仮想通貨 ガス代(2025/10/3時点)
上表は最もガス代が安い取引「ガストークンの送金」のガス代で、計算処理が重い取引では数倍から数十倍のガス代が発生します。
仮想通貨のガス代の仕組み・ガス代が高い理由


仮想通貨のガス代は次の式で計算されます。(例:イーサリアム)
参照:Ethereum.org “Gas and Fees“
ガス代が目的地までに必要なガソリンの合計金額だとすると、使用ガス単位が必要なガソリン量(リットル)で、基本手数料と優先手数料がガソリン単価(円/リットル)のイメージです。





それぞれの要素の仕組みを順番に解説していきます。
ガス代の構成要素①:使用ガス単位
使用ガス単位(Units of gas used)は、イーサリアム上で取引を実行するために必要な計算労力を指す値となっており、取引の種類毎に以下のように決まっています。
| 取引内容 | 使用ガス |
|---|---|
| ETH送金 | 21,000(固定) |
| ERC-20送金 | 約65,000 |
| NFT送金 | 約85,000 |
| UniswapのV2スワップ | 約150,000 |
| UniswapのV3スワップ | 約185,000 |
| OpenSeaの売却 | 約205,000 |
| UniswapのV3流動性提供 | 約215,000 |
| レイヤー2預け入れ | 約250,000 |
イーサリアム 使用ガス量(参照:2025/10/2 Ethereum Gas Tracker)
「ブロックチェーン」上で取引処理を行うノードは、寿命があるストレージ・CPU・メモリを電気コストを支払って消耗させながら対応しており、処理が重いほど私たちが支払うガス代は高くなります。
仮想通貨ETHの送金は最も処理が軽い取引で「21,000」固定となっており、変わることはありません。



その他は目安の値となっており、多少の変動幅があります。
単なる送金処理ではなく、「分散型取引所での流動性マイニング」などは様々な残高が複雑に変動し処理が重いため、使用ガス量はどこでも基本的に多くなります
取引で実際に掛かったガス使用量は、エクスプローラーサイト「etherscan」で取引のIDを入力して画面下部の「Click to show more」を押すと確認ができます。


使用ガス単位を小さくする方法はなく、処理が重い取引で高いガス代を支払うのはある程度割り切るしかないです。
ガス代の構成要素②:基本手数料
基本手数料(Base fee)は、1ガスあたりの単価の基本料金部分を表す値で単位は「gwei/ガス」です。基本手数料を柔軟に増減させることで混雑時にガス代を高めて取引量を抑えたりします。
基本手数料の値は、1つのブロックに含めることができる「最大のガス使用量の半分の値」と「実際のガス使用量」の大小関係で決まる仕組みです。



イーサリアムは12秒間隔で1ブロックを生成しており、次のように1ブロックあたりの最大のガス使用量を設定しています。
- 最大ガス使用量:45,000,000
- 基準ガス使用量:22,500,000
参照:Ethereum Gas Tracker(2025/10/2時点)
1ブロックに含められる最大のガス使用量の半分が基準ガス使用量(Target block size)として定義されます。
基準ガス使用量22,500,000より実際のガス使用量が多いと、次のブロックの基本手数料は最大で1.125倍まで高くなり、逆に少ないと最大0.875倍まで安くなる仕組みです。


基本手数料の増加率は、以下の式で決まります。(実際が基準より大きい場合)
※つまり、最大で増加するときは(45M-22.5M)/22.5M×1/8で12.5%増になる。
基本手数料の下落率は、以下の式で決まります。(実際が基準より小さい場合)
※1/8のは「BASE_FEE_MAX_CHANGE_DENOMINATOR」と呼ばれるガバナンスで調整可能なつまみとなっており、この値で最大の増加率1.125、最大の減少率0.875が算出されていることになります。現在は8で設定されています。
従って、イーサリアム上で取引が集中し、最大の取引量の状態が続くと基本手数料は12秒間隔で1.125倍になるため、ガス代は数分で高くなります。





ガス代が高いとユーザーは取引を控えるようになるので、12秒間隔で次第にガス代は安くなっていく訳です。
ちなみに、1ブロックあたりに含められる最大ガス使用量はイーサリアムのガバナンス投票で決まっており、取引処理環境の改善に従い、これまで段階的に引き上げられています。


直近では「pump the gas」キャンペーンにより2025年7月に引き上げが実現し「45,000,000」となりました。ガス代が2025年に安くなったのは、この最大ガス使用量の引き上げが背景です。
45M以上の引き上げも検討されており、最新の投票状況は「GasLimit.Pics」より確認ができます。


ガス代の構成要素③:優先手数料
基本手数料(Base fee)は、1ガスあたりの単価の優先料金部分を表す値です。単位は「gwei/ガス」で、取引混雑時に調節することで優先的に取引が処理されやすくなります。



イーサリアムで私たちが送信した取引は、処理されるまでに一度「メンプール」と呼ばれる取引の一時保管場所に置かれます。
イーサリアムのノードはメンプール上の取引を実行する順番を決めることができ、処理した取引の優先手数料は全て取引を実際に処理したノードの報酬になります。
従って、ノードは優先手数料が高く設定された取引をなるべく早く処理したいと考えるため、混雑時に優先手数料が安い取引は処理を後回しにされやすくなります。


自動で提案されたガス代は標準的な優先手数料が設定されているので、基本は特に自分で調整することはせずにそのまま支払えば問題はありません。
仮想通貨のガス代を安くする方法


高い仮想通貨のガス代を安く抑える方法は、次の3つです。
①②③の順に優先度・効果が高いです。(①が最も高い)
①イーサリアムは基本使わない
高い仮想通貨のガス代を安くするために、まずは「イーサリアム」を基本的には利用しないようにしましょう。
前提として、イーサリアムは「セキュリティ」と「分散性」を重視しているためガス代が高いです。


イーサリアムのガス代が高い状態が何年経っても解決されないのは、イーサリアムは一般ユーザーが頻繁に利用することを想定して開発されていないからです。
>>開発者Vitalik氏のイーサリアム開発方針 “ロールアップ中心のイーサリアムロードマップ“(Ethereum Magiciansより)
イーサリアムは「レイヤー2」と呼ばれる別のブロックチェーンで処理した取引を書き込み、書き込んだ正しく検証する場所になることを主な利用方法の1つとして開発を進めています。



だから「セキュリティ」と「分散性」を重視し続け、処理性能(スケーラビリティ)を大きく改善しない訳です。


当然ブロックチェーン上のアプリケーション(DApps)の開発側はこういった事情を理解しており、イーサリアムだけでなくレイヤー2ブロックチェーンでも利用できるように開発しています。
イーサリアムでしか利用できないアプリケーションは最近はほとんどないので、イーサリアムの指針通りレイヤー2ブロックチェーンを利用しましょう。



代表的なレイヤー2ブロックチェーンは「アービトラム」です。1回の取引にかかるガス代ETHは日本円換算で0.1円未満で済みます。
「アービトラムにガス代ETHを入金して利用する方法」は、下の記事で詳しく解説しています。


「レイヤー2アービトラムの概要・仕組み」は、下の記事で詳しく解説しています。


②ネットワークが混雑する日時を避ける
どうしてもガス代が高い「イーサリアム」等のブロックチェーンを利用したい場合、取引が集中する日時を避けることでガス代を抑えられる可能性があります。
先述の通り、例えばイーサリアムなら1ブロックのガス使用量が22,500,000を超えるとガス代が最大で12.5%ずつ1ブロック毎に高くなっていくため、混雑時にガス代は急騰してしまいます。



そこで混雑時を避けるために、「Ethereum Gas Tracker」のサイトで提供されている「Weekly Heatmap」を使いましょう。
※Ethereum Gas TrackerはEthereum公式サイト(ethereum.org)でも紹介されているガス代情報提供ページです。
イーサリアムが混雑しやすい時間が曜日別に表示されるため、色が濃い時間を避ければガス代を抑えやすくなります。


時刻表記はUTCとなっているため、日本時間にする場合は+9時間で換算してください。
ちなみに、画面上部では前ブロックの最大値である45Mに対して実際にどのくらいのガスが使用されたが表示され、現在の基本手数料(Gwei)も表示されます。
眺めていると22.5Mより大きい場合に、ガス代が12秒間隔で高くなるのが分かります。


Etherscanが提供している別の「Ethereum Gas Tracker」サイトもあり、こちらでは取引種別毎の現在のガス代見積もりが表示されるので便利です。


③優先手数料を適度に調節する
おすすめはしませんが、優先手数料を下げてメモプールから選出されるまでの時間をあえて遅らせることで、ガス代を安くすることもできます。


混雑時にいつまで経っても取引が処理されず困ることにもなるので、注意が必要です。
まとめ:仮想通貨のガス代は極力抑えよう


仮想通貨のガス代は以下の3要素で構成されます。(例:イーサリアム)
- 使用ガス単位(Units of gas used)
- 基本手数料(Base fee)
- 優先手数料(Priority fee)
特にイーサリアムはレイヤー2の利用を想定した設計のため、混雑していなくてもガス代は高めです。



利用したいアプリケーションが「アービトラム」等のレイヤー2でも対応していれば、イーサリアムの利用は避けましょう。
「アービトラムにガス代ETHを入金して利用する方法」は、下の記事で詳しく解説しています。


「レイヤー2アービトラムの概要・仕組み」は、下の記事で詳しく解説しています。


どうしてもイーサリアムを利用する必要がある場合、国内取引所からメタマスク等のウォレットに送金する場合は、送金手数料が無料の「ビットポイント」を利用するのがおすすめです。
「ビットポイントからメタマスクに送金する方法」は、下の記事で詳しく解説しています。





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ご覧いただきありがとうございました。
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メールアドレスはこちら:contact@pandacrypto.xsrv.jp

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※2020年5月1日より「仮想通貨」は「暗号資産」へ呼称変更されていますが、一部記事では「仮想通貨」の表記を継続する場合があります。当サイトの「仮想通貨」は「暗号資産」を指します。
仮想通貨に関する注意喚起

仮想通貨の価格は日々変動しており、保有する仮想通貨の価格が急激に下落する場合があります。購入時の価格を下回ったり、無価値になってしまうことで大きな損失が発生する恐れがあります。
仮想通貨の信用取引は、価格変動により保証金を上回る損失が発生する場合があります。
その他仮想通貨に関する注意喚起について詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。
| 金融庁 | 暗号資産の利用者のみなさまへ |
| 警察庁 | 暗号資産(仮想通貨)に関するトラブルにご注意ください! |
| 消費者庁 | 投資などのお金に関するトラブルや悪質商法について |
| 国税庁 | 仮想通貨の税務上の取扱い-現状と課題- |
| 政府広報オンライン | 暗号資産の「必ずもうかる」に要注意! |
| 日本暗号資産取引業協会 | 暗号資産に関するトラブルにご注意ください! |
| 国民生活センター | 暗号資産に関する消費者トラブル |






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