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この記事から分かること
- インパーマネントロスの仕組み
- インパーマネントロスの計算式
- インパーマネントロスの対策
※本記事は流動性を全価格範囲(0から∞)に配置する場合の一般的なインパーマネントロスの仕組みを解説しています。価格範囲を指定する集中流動性型のインパーマネントロスについて知りたい方は「こちらの記事」をご覧下さい。
※本記事へのコメント・質問等は私のX(旧ツイッター)にDMで送っていただいても大丈夫です。丁寧に回答させていただきます。
インパーマネントロスとは、分散型取引所で「流動性マイニング」を行うとき、提供した仮想通貨ペアの片方の価格が相対的に変動するときに発生する損失のことです。
例えば仮想通貨の価格が相対的に上がった場合、上がった方のポジションは少なくなるため、価格上昇の恩恵を受けづらくなります。
逆に、仮想通貨の価格が相対的に下がった方の銘柄のポジションは増えるため、価格下落の影響はより大きくなります。
価格変動が戻るまで待てば損失が回復するため、損失は場合によっては「一時的」であることからインパーマネントロス(impermanent, 一時的な)と呼ばれます。
まずは「流動性マイニングで大きな価格変化が起きると損をする」と覚えておきましょう。
価格変化ごとの損失率は、下の損失早見表で確認できます。
価格変動 | 損失 (%) |
---|---|
1.25倍 | 0.6% |
1.50倍 | 2.0% |
1.75倍 | 3.8% |
2倍 | 5.7% |
3倍 | 13.4% |
4倍 | 20.0% |
5倍 | 25.5% |
例えば1.5倍の価格変動であれば約2.0%の損失です。
流動性マイニングの利回りがその時点で2%出ていればプラスなので気にし過ぎる必要はありませんが、「草コイン」等では数百パーセントの価格変動はよく起こるので運用ペアによっては注意が必要です。
この記事を最後まで読むことで、インパーマネントロスの発生の仕組みと計算式が分かり、リスクを理解した上で「流動性マイニング」を行えるようになります。
※最近増えている「集中流動性」型の分散型取引所の場合、数倍~数十倍のより大きなインパーマネントロスが発生するためより一層の注意が必要です。「集中流動性」型はこちらの記事の方で解説しています。
※当メディアでは、金融庁の「暗号資産交換業者登録一覧」で認可を受けており、「関東財務局」に登録されている仮想通貨取引所の利用を推奨しています。また、当メディアの「仮想通貨」は「暗号資産」のことを指します。
暗号資産に関する注意事項は、金融庁・消費者庁・警察庁による「暗号資産の利用者のみなさまへ」を是非ご覧ください。
インパーマネントロスとは
インパーマネントロスとは、分散型取引所で「流動性マイニング」を行うとき、提供した仮想通貨ペアの片方の価格が相対的に変動するときに発生する損失のことです。
両方の仮想通貨の価格が同時に上がっていたり、同時に下がっていたりする場合は発生しません。(流動性の枚数比は変わらない場合)
例えばBTCの価格が1.2倍になると、流動性マイニングを行っていない時と比べて0.4%の損失が発生します。
インパーマネントロスが発生する理由は、「流動性を提供すること」は分散型取引所という市場に自分の資産を並べて、ユーザーにスワップ取引に自由に使ってもらうことを意味するからです。
こういった損失リスクを負う一方、ユーザーのスワップ手数料が流動性マイニングの報酬という形で流動性提供側に還元されます。(流動性マイニング報酬-インパーマネントロスがプラスになれば成功)
変動損失を理解するために、次の状況をイメージしてみます。
- あなたはBTC&USDTで流動性マイニング中
- BTCバブルとなりUSDTでBTCが大量に買われる
このとき、あなたが流動性として提供しているBTCの枚数は減りUSDTは増えます。
BTCは今価格が上がっている通貨で、上がっている通貨の枚数が少なくなるため、BTCの価格上昇の恩恵を受けづらくなります。これがインパーマネントロスです。
流動性マイニングを辞める前に価格が戻れば、インパーマネントロスは解消されます。
このように、損失はすぐに確定せず戻る可能性があることから「一時的な損失」「変動損失」とも呼ばれます。(インパーマネントロスの日本語訳)
インパーマネントロスの早見表
インパーマネントロスは計算式によって損失%を求めることができ、次の損失早見表通りに損失が発生します。
価格変動 | 損失 (%) |
---|---|
1.25倍 | 0.6% |
1.50倍 | 2.0% |
1.75倍 | 3.8% |
2倍 | 5.7% |
3倍 | 13.4% |
4倍 | 20.0% |
5倍 | 25.5% |
例えば25%の価格増なら0.6%しか発生しないため、大きな価格変動が発生しない限り、大きな変動損失は発生しません。
しかし「ミームコイン」等、流動性総額が小さいかつ投機的な需要が高い銘柄は数百パーセントの価格変動もしばしば発生します。
インパーマネントロスを知らずに流動性マイニングを行っていると、暴落したときに自分のポジションが全てミームコインに置き換わるため、より大きな損失に繋がります。
※暴落したミームコインは戻らないことも多いため損失も一時的なものでは済まない。
インパーマネントロスの計算式・計算サイト
インパーマネントロスの計算サイト
インパーマネントロスの計算サイトはこちらがおすすめです。(Impermanent Loss Calculator)
次のように使うことで、損失(%)が算出されます。
- Initial Priceに変動前の価格を入力
- Future Priceに変動後の価格を入力
- Resultsに変動損失の%が表示される
※出力される結果は損失早見表と同じです。
自分が想定する価格変動によるインパーマネントロスの発生率を一度イメージしてみることが大切です。
インパーマネントロスの計算式と解説
下のイラストの状況でインパーマネントロスの算出の仕組みについて解説します。
- 1BTCと10,000USDTで流動性を提供
- BTCが買われ価格が20%増加
- 流動性枚数が変わり損失が発生
前提として、流動性は現在の価格の比率で提供します。
上の例では10,000USDT/BTCだったため、流動性は「10,000USDT:1BTC」の比率で必ず提供します。
言い換えると、流動性プール内の仮想通貨の枚数比率が仮想通貨の価格を表します。
ここで、式を表すために次のように文字を定義しておきます。
- a:最初のあなたのBTC流動性枚数
- b:最初のあなたのUSDT流動枚数
- a´:価格変動後の全体のUSDT流動性枚数
- b´:価格変動後の全体のBTC流動性枚数
- LP1:価格変動後のあなたのBTC流動性枚数
- LP2:価格変動後のあなたのUSDT流動性枚数
※LP1とLP2が変数
このとき、次の2つの関係式が同時に成り立ち、この連立方程式を解くことで価格変動後のあなたの流動性ポジションLP1とLP2が計算されます。
実際の数値を当てはめると、次のようになります。
この連立方程式を解くことで、「LP1=0.9128、LP2=10,954」と求まります。
1枚あったBTCが0.9128枚に減っていますね。
①式は、分散型取引所の価格計算の仕組み「Constant Product AMM」と呼ばれる式です。
常に流動性の枚数は、xy=k(kは定数)に従って変化します
これにより、LP1とLP2は最初にあなたが提供した流動性同士の掛け算で定義されるkに常に従って変動します。
②式は、あなたの流動性が常に流動性全体が表す価格と一致するようにリポジションされることを意味します。
Constant Product AMMのグラフに沿う形で、価格変動によりリポジションされた結果が、あなたの価格変動後の流動性枚数ということです。
これにより価格が上昇している方の枚数が減るため、ガチホしている時の差分がインパーマネントロスとなります。
インパーマネントロスの対策
インパーマネントロスの対策・ヘッジは次の3つです。
- 変動損失が解消されるまで待つ
- 変動損失を上回る利回りを稼ぐ
- 変動損失が発生しにくいプールを狙う
①変動損失が解消されるまで待つ
インパーマネントロスは名前の通り「変動損失」のため、確定はしておらず価格が戻れば解消されます。
インパーマネントロスが確定するのは、「流動性マイニング」を辞めたときです。
例えば、片方の仮想通貨の価格が上昇してインパーマネントロスが発生した場合でも、もう片方の仮想通貨価格が上昇するまで待てばインパーマネントロスが発生しません。
②変動損失を上回る利回りを稼ぐ
インパーマネントロスが発生しやすい銘柄は「流動性マイニング」の利率が高いため、損失より多くの利回りを稼げば問題ありません。
流動性マイニングのパフォーマンスは「利回り-インパーマネントロス」で評価されます。
従って価格が変動しやすい銘柄はインパーマネントロスが発生しやすいため、流動性が提供されづらく、利回りが自然と高くなります。
③変動損失が発生しにくいプールを狙う
価格が変動しない「ステーブルコイン同士のペア」で流動性を提供すれば、インパーマネントロスは発生しません。
インパーマネントロスのリスクが低いほど流動性が提供されやすいため利率が下がりますが、安全に運用できます。
リスク区分 | ペア例 | 利率例 |
---|---|---|
低リスク | ステーブルコイン同士 (e.g. USDT-USDC) | 1%~10% |
中リスク | 時価の大きい通貨同士 (e.g. BTC-ETH) | 11%~30% |
高リスク | マイナーコインを含む (e.g. PNP-BNB) | 31%~1000% |
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まとめ:変動損失に注意して運用しよう
本記事では、V2と呼ばれる一般的なインパーマネントロスの仕組みを解説しました。
最近は自分で価格範囲と手数料を設定する「集中流動性」型の流動性プールも増えており、インパーマネントロスの発生の仕組みが異なります。
「集中流動性型のインパーマネントロスの仕組み」は、下の記事で詳しく解説しています。
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