この記事から分かること
- ミームコインの価格変動が大きい理由
- ミームコインが高リスクと言われる理由
本記事を最後まで読むことで、分散型取引所で取り扱われているミームコイン(草コイン)の価格変動が大きくなりやすい理由を仕組みから理解することができます。
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ミームコインの価格変動が大きい・リスクが高い理由
ミームコイン(草コイン)は、一般的に価格変動が大きい・リスクが高いと言われます。
多くの草コイン投資家が利用する「DEXTools」のHot pairsを覗くと、常に24時間あたりの価格変動が20%を超える高ボラティリティの銘柄が多く並んでいます。
時価総額上位のビットコインやイーサリアムでは、こういった価格変動が頻繁に起こることはありません。これは何故でしょうか。
分散型取引所で取り扱われるミームのコイン(草コイン)の価格変動が大きい最大の理由は、その流動性プール内に預けられている流動性金額の小ささにあります。
分散型取引所の仕組みのおさらい
以下、預けられている流動性の金額のことをTVL(Total Value Locked)とします。
分散型取引所内のミームコインの流動性プールは、そのミームコインのプロジェクトが最初に流動性を用意することが作られ、その後銘柄によっては分散型取引所の利用者も流動性を追加できる形です。
TVLが小さいとなぜ価格が変動しやすく、リスクが高くなるのかを分散型取引所の仕組みから詳しくみていきましょう。
分散型取引所では、一般的にAMM(Automated Market Makers, 自動マーケットメイカー)と呼ばれる、仮想通貨のスワップ価格が流動性内の仮想通貨の枚数で自動で決まる仕組みが採用されています。
分散型取引所内で表示されている仮想通貨の価格は、次のように計算されているイメージです。
※スワップするときの実際の価格はまた少し計算が異なりますが、この後で詳しくご紹介します
分散型取引所にミームコインを新規上場させる際、最初はプロジェクト側でこの流動性プールを用意する必要がありますが、ミームコインのプロジェクトはそこまで多くのTVLが用意されない場合が多いです。
例えば、有名なミームコインであるペペコイン(PEPE)は、2023年4月14日にUniswap(V2)で初めて流動性プールが作成されましたが、最初のTVLはわずか3万5千ドルです。
手数料の一部が自動的に流動性に追加される仕組みになっているミームコインもありますが、最初は流動性が小さいことが一般的です。
TVLが小さいと何故価格変動が大きい?
多くの分散型取引所が採用しているAMMである「Constant Product AMM」では、TVLが少ないと価格変動が大きくなる仕組みになっています。
ここから下の内容は、Constant Product AMM(定積AMM)を最初に導入した分散型取引所「Uniswap」の開発書・ホワイトペーパー12の内容を基に作成しています。
Constant Product AMMでは、次の式に従って必ず流動性プール内の仮想通貨の枚数が変わる仕組みになっています。
xy=k
xとyは流動性プール内のそれぞれの仮想通貨の枚数を表しており、kの値は新しく流動性が追加されたり、削除されたりするときに再計算されます。
例えば、yはミームコインDOGEの現在の流動性の枚数、xは現在のUSDTの枚数としましょう。
次の状況のとき、50USDTでミームコインDOGEを買った(スワップした)場合を想定してみましょう。
- x=5,000USDT
- y=10,000DOGE
- k=50,000,000
ミームコインのプロジェクト側が5,000USDT&10,000DOGEで最初に流動性を提供し、その後まだスワップは一度も行われていない状況です。
この時点のDOGEの価格は「5,000/10,000=0.5USDT/DOGE」となります。
プールのTVLは10,000ドルなので、小規模の流動性プールであることが分かります。
ここであなたが50USDTでDOGEを購入したときの流動性プールの価格変化について見てみます。
あなたがスワップで受け取れるDOGEの枚数は次のように計算されます。
- 変化後のxを式に入れる:y=50,000,000/5,050
- yを計算する:y=9,900.9900…
- yの変動分が受取り枚数:10,000-9,900.99=約99DOGE
※ちなみ、このときスワップ価格は50/99=0.5050USDT/DOGEとなり、1%価格が現在価格から上がった状態でスワップすることになります。
プライスインパクトと呼ばれ、あなた自身の取引の大きさがスワップ価格に影響を与える仕組みです。
プールが枯渇しないように、プライスインパクト(Price Impact)によってスワップ効率が悪くなっていきます。
この取引により、流動性プールは次のように変化しました。
- x=5,050USDT
- y=9,900.999DOGE
- k=50,000,000(定積で変わらない)
この時点のDOGEの価格は「5,050/9,900.99…=0.51USDT/DOGE」となり、約2%価格が上がりました。
このように、たった50USDT分のスワップだけでDOGEの価格は2%も上昇することが分かります。
さらに分かりやすくするため、もっとTVLが小さい流動性プールを想定してみましょう。
- x=100USDT
- y=10,000DOGE
- k=1,000,000
ミームコインのプロジェクトが100USDT&10,000DOGEで最初に流動性を提供し、その後まだスワップは一度も行われていない状況です。
この時点のDOGEの価格は「100/10,000=0.01USDT/DOGE」となります。
プールのTVLは100ドルなので、かなり小規模の流動性プールであることが分かります。
今回も、あなたが50USDTでDOGEを購入したときの流動性プールの価格変化について見てみます。
あなたがスワップで受け取れるDOGEの枚数は次のように計算されます。
- 変化後のxを式に入れる:y=1,000,000/150
- yを計算する:y=6,666.66666…
- yの変動分が受取り枚数:10,000-6,666.66…=約3,333DOGE
※ちなみ、このときスワップ価格は50/3333.3333=0.5050USDT/DOGEとなり、1%価格が現在価格から上がった状態でスワップすることになります。(プライスインパクト)
この取引により、流動性プールは次のように変化します。
- x=150USDT
- y=6,666.6666DOGE
- k=1,000,000(定積で変わらない)
この時点のDOGEの価格は「150/6,666.6666…=0.0225USDT/DOGE」となり、125%価格が上がりました。
極端な例を挙げましたが、TVLの大きさがボラティリティに影響を与えることが分かったのではないでしょうか。
さらに、今回挙げた2つの例をグラフで表して比べてみましょう。
USDTの流動性をx、DOGEの流動性をyとしたとき、例①と例②のグラフ・流動性の変化は次のように表すことができます。
流動性の価格は流動性枚数の単純な割り算で計算されるので、グラフ上の点における接線の傾きが価格を表します。
最初の例①では流動性が大きいため、接線の傾きが点Cと点Dでほとんど変わりません。つまり、価格変化が起きづらいということを意味しています。
点Cと点Dにズームすると、下の画像のように見えます。
一方、例②では流動性が小さいため、接線の傾きが点Aと点Bで異なるため、価格が大きく変化していることが分かります。
同じ50ドル分のスワップでも、TVLが小さいと大きく価格が変動しやすくなるということです。
価格が変動しやすい、ボラティリティが高い銘柄は投機の対象になりやすく、結果として急激な資金流入も起きるため、さらにボラティリティは高まるという訳です。
今回使用したグラフはGeoGebraで作成しており、下のリンクから誰でも閲覧できます。
https://www.geogebra.org/calculator/dxj8da3a
Constant Product AMMは、こちらのUniswapV2の公式文献でも詳しく解説されています。
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